医療の国際展開
医療の国際展開とは
昨今、急激な経済発展を遂げる新興諸国において、医療ニーズの増大が見込まれています。一方で、日本経済は少子高齢化もあいまって停滞し、社会保障費の増大、とりわけ総医療費の増大が懸念事項のひとつとして大きく取り上げられております。
今まで国のお荷物のように扱われてきた医療を成長産業として捉え直し、高水準の医療と医療周辺産業をパッケージ輸出することで、日本経済の停滞の打開と成長の契機とすることができます。また医科大学と付属病院を併設することで、現地の医療スタッフを育成し、将来的には現地の国民自らが高水準の医療を担っていくことを目的とします。それが、我々の掲げる医療の国際展開、すなわちHealthcare and Human Resource Development Project(=HHRD Project;日本式高度医療サービスおよび医療教育施設提供)です。
我々は、KNI P.P.が運営するKitahara Japan ClinicやNPO法人日本医療開発機構と協働し、カンボジアでの知見と実績を積みながら、2015年には合弁会社で救命救急センターを開設することで、カンボジアを東南アジアの医療展開の拠点とし、周辺諸国の医療発展にも寄与する所存です。
このような医療のあり方は、規制の多い日本では展開しがたいものです。医療を人生のすべてのライフステージに関わる「総合生活産業」と捉えなおし、新しい医療のあり方のショールームとして世界へ提示することで、日本を始めとするアジア全体の医療に対するパラダイム転換を促進します。
なぜ必要か、なぜカンボジアなのか
カンボジアはポル・ポト政権時代に知識人の大量虐殺が行われ、医療は壊滅状態に陥りました。
内線終結後、カンボジアは急速な経済発展を遂げましたが、医療のみが発展から取り残され、ニーズが顕在化しています。
国民は自国の医療に安心してかかることができないため、年間21万人もの富裕層が国外(タイ、ベトナム、シンガポール等)へ医療渡航しています。
一方で、貧困層は国内の低水準の医療を受けるか、あるいは病気になっても医療にかかれない状況にあります。
また、カンボジア人が非常に親日的であること、2015年のASEAN統合にあわせて広域経済圏へ日本式医療を提供する契機となりうると考えたことも我々のカンボジアでの医療展開を後押ししました。
日本とカンボジアの発展
カンボジアにおいて我々が日本式の高水準の医療を提供することで、国内の医療を救い、富の流出を防ぎ、また医療者の教育に貢献することができると考えます。
また、カンボジアでの医療産業及び周辺生活産業輸出を契機として海外諸国への医療展開を行い、停滞する日本経済の発展に寄与します。
ODAとの違い
従来の発展途上国への医療支援といえば、ODAをはじめとする先進国からの施し、あるいはボランティアでの医療提供が主流です。
しかし、最初は支援であっても、やがては彼らが自らの稼ぎで回せるようにならなければシステムの永続は不可能ですし、さらに「施し」としての医療を提供することで、現地の医療発展を阻害することにも繋がりかねません。
私たちは従来のODAに替わる新しい支援のかたちを模索していく必要があります。
我々の医療提供の真髄は、単なるボランティアにとどまらない「施しではない医療」にあります。
医療をビジネスとして運営することで、持続可能な医療サービスの提供を可能にし、また現地医療水準を向上させることに繋がります。
さらに、医療産業の発展が現地の雇用を創出し、現場で医療教育を行うことで専門的な技術や知識をもつ医療者を育成し、貧困からの脱却を促進すると同時にカンボジアの医療立国としての発展に寄与します。
また、諸規制にとらわれない他国で、単に病院という箱の中にとどまらない「総合生活産業としての医療」を提供することで、医療崩壊が叫ばれて久しい日本へ新たな医療のあり方を提示し、リバースイノベーションを生み出すことで日本の医療崩壊を食い止めることに寄与します。
そのような医療提供のあり方こそが、日本とカンボジア双方にとって理想的な医療であると私たちは考えます。